サマリー(要点3行)
- 2007年生まれ、MF(ボランチ/インサイドハーフ)。横浜F・マリノスの下部組織からスペインのレアル・ソシエダのユースを経て、2025年夏にセレッソ大阪へ加入。
- 武器は“試合を整える配球力”。首振り→方向付けのファーストタッチ、レンジのある斜め付け、前進パスでテンポを作るゲームメイク型。
- C大阪では4-2-3-1の2ボランチ、あるいは4-3-3の右インサイドで真価。前線のタレントへ“刺す”縦パスを通し、試合の重心を前に押し上げ
久保瑛史プレー集
久保建英の弟、背番号15番の久保瑛史(17)が楽しみすぎる✨世代別代表や有名クラブの下部組織所属選手で期待通りの活躍をした選手は決して多くはないけど、ソシエダの育成力は定評があるし、久保一族のアスリート遺伝子を加味すると次世代ボランチとして期待したい。 pic.twitter.com/fwbHBCHToq
— ひつじ (@football_HTJ) November 11, 2024
リード:なぜいま“もう一人の久保”なのか
兄・建英の眩さが語られるほど、弟は比較の相手になりやすい。しかし久保瑛史が注目される理由は、“血筋”に留まらない。試合を落ち着かせ、味方が前を向ける角度で受け、前進パスを通す。チームの呼吸を整える役割は、結果の陰で価値が過小評価されやすいが、勝つための再現性という観点で不可欠だ。若くしてこの“整える能力”を土台に、舞台をスペインから日本へ。C大阪で、彼は自分の色をもっとも出しやすい環境を手に入れた。
プロフィール
久保建英の弟・瑛史がC大阪に加入「早くチームの力に」神奈川出身、Rソシエダ下部から新天地は大阪に/サッカー/デイリースポーツ online https://t.co/lrhT9Thsdh #デイリースポーツ #DailySports
— デイリースポーツ (@Daily_Online) August 21, 2025
- 氏名:久保 瑛史(くぼ えいじ)
- 生年月日:2007年9月2日
- 出身:神奈川県川崎市麻生区
- 身長/体重:180cm/73kg(公称)
- 利き足:右
- ポジション:CM(インサイドハーフ)/DM(ボランチ)
- 主な所属:横浜F・マリノスU-12 → 横浜F・マリノスU-15 → レアル・ソシエダ(カデーテ→フベニールB/U-19)→ セレッソ大阪(2025年加入)
- 背番号:26
- 兄:久保建英(レアル・ソシエダ)
ポイント:身長180cmのレンジ、右利きの配球型。周辺状況の把握(首振り)と方向付けの初速判断に秀で、ワンタッチから前向きへ持ち出すテンポ感が魅力。
幼少期と基礎形成:横浜F・マリノスU-12/U-15で磨いた「整える力」
日本での育成年代は横浜F・マリノスのプライマリー~ジュニアユースで過ごした。ここで身についたのが、受け手・出し手としての位置取りのセンスと、周囲のテンポを乱さないボール扱いの丁寧さだ。いわゆる“飛び道具”のドリブルやロングシュートではなく、基礎技術の確実性を積み上げるタイプ。試合を観る視点は早くから成熟しており、ピッチ上の「交通整理役」としての片鱗を見せていた。
コーチの視点:インサイドハーフやボランチで“顔を出す位置”が良く、背後のケアと前進の両立を意識できる。ミスを恐れず前へ通す胆力も持つ。
スペインでの武者修行:レアル・ソシエダのカデーテ~フベニールB
兄・建英がスペインで地位を築く過程と軌を一にして、瑛史もレアル・ソシエダの下部組織へ。カデーテ(U-16)からフベニールB(U-19)まで、バスクの強度とスピードを浴びるように経験した。特に中盤の圧迫が激しいスペインのユース環境は、ワンタッチの精度と次を見据えたファーストタッチを磨く絶好の場。ボールを持ちすぎず、最短で前を向く“省エネ”の判断速度はここで加速した。
- 学んだこと:
- 奪われた直後の5秒間の反応速度(カウンタープレス/即撤退)
- フィジカル接触の受け方(体の向き・腕の使い方・先に当てる)
- ライン間で消える/現れるタイミング(相手の視野外を取る)
日本への帰還と決断:セレッソ大阪を選んだ理由
セレッソ大阪の加入が決定した久保瑛史のインタビュー🌸✨
— Fooootest(サッカーブログ) (@Fooootest) August 21, 2025
🎥@crz_official
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2025年夏、セレッソ大阪への加入を決断。Jクラブの中でもC大阪は中盤タレントの輩出に実績があり、若手に“リアルな競争”を用意できるチーム文化が根付いている。背番号26を背負い、まずは強度の壁に慣れるところから。短時間の出場でも、テンポを前に向ける前進パスや、相手の勢いをいなす一拍の溜めで存在感を示したい。
プレースタイル徹底分析
ボール保持(ビルドアップ/前進/最終局面)
- ビルドアップ:最終ラインの脇やアンカー脇で顔を出す角度が良い。受ける前に首を振る→体の向きで前を向く流れが滑らか。両CB~SB~IHの三角形の頂点になり、2人目・3人目を動かすパスの前提条件を整える。
- 前進:レンジのある斜めの通しと、逆サイドへのスイッチ。内から外、外から内へ重心をずらす配球で相手FWの前からくるプレッシャーを外す。テンポ変化を作るワンタッチが持ち味。
- 最終局面:自らPA侵入して撃つというより、最終3分の1で加速するワンツーや、裏を狙うスルーパスで“チャンスを演出”するタイプ。
守備(予測・カバーリング/トランジション)
- 予測:球際で“刈る”より、先回りのポジショニングが光る。2列目のこぼれ球やセカンドに強く、二次攻撃の芽を摘むズレ修正が得意。
- カバーリング:SBやIHが食いついた背後にスッと落ちる。ラインコントロールに関与し、ネガトラ時に最短距離で危険を減らす角度を取れる。
- トランジション:奪回直後の最初の一手で質が決まるタイプ。リスク管理と前進の両立を図る最適解の選択に価値がある。
フィジカル&メンタル(強度・継続性・勝負勘)
- 強度:Jの当たりに慣れる過程は必要。ただし**接触前の準備(体の向き・踏み込み)**で不利を減らす術は持つ。
- 継続性:90分の集中持続が次の壁。運動量の波を小さく保つ省エネの配球でカバー可能。
- 勝負勘:スコアや時間帯でのリスク許容度の切り替えが上手い。無理をしない“冷静さ”が持ち味。
“兄・建英”との似て非なる部分
- 起点の位置:兄=最終3分の1で違いを作るアタッカー。弟=中盤で試合を前へ回すレジスタ寄り。
- プレーの質感:兄=“個で崩す”瞬間火力。弟=連結で崩す持続火力。
- チームへの効能:兄=決定力と局面打開。弟=再現性と試合管理。
C大阪での戦術適性と起用案
4-2-3-1(ダブルボランチ)
- 役割:ビルドアップ出口/方向付け/前進パス。相方には“刈り取れる型”を置くと相互補完が成立。
- 狙い筋:右IH的な挙動でハーフスペースの裏へ刺す。右SBの内外レーンの使い分けと相性が良い。
4-3-3(右インサイドハーフ)
- 役割:アンカー脇の循環促進役。サイドで味方がボールを保持している時、内側でもらって前を向き、DFの背後へ素早くパスまたは抜け出しで仕留める
- 狙い筋:右WGが大外で幅取り→IHの縦関係でライン間を攻略。CFの足元/裏の両立を支える。
カップ戦でのスモールスタート カップ戦でのスモールスタート カップ戦でのスモールスタート
強度に慣れるまでは途中出場やカップ戦での実績づくりが現実的。短時間でもテンポ改善は目に見えやすく、序列上げの近道になる。
Q&A:読み方/背番号/ポジションほか
- Q. 読み方は? → くぼ・えいじ(瑛史=“えいじ”)
- Q. 背番号は? → 26(C大阪)
- Q. ポジションは? → CM/DM(インサイドハーフ/ボランチ)。右利きの配球型。
- Q. 兄との共通点は? → 首振りの多さ、状況判断の速さ。ただし、起点の位置と“勝たせ方”は異なる。
まとめ:線で試合をつなぐミッドフィールダー
久保瑛史は、派手なハイライトで語られるタイプではない。だが勝つための再現性という視点で、チームの“平均値”を底上げする力を持つ。受ける角度→前向きの初速→前進パス。この三段の矢が、C大阪の攻撃を一段押し上げる。プロキャリアの入り口に立った18歳。兄とは別の文脈で、“チームを強くする存在”へ。次の90分で、その予感は確信に変わるかもしれない。
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